あおぞら養鶏場が生まれるまでの想い
STORY
命を育て、命をいただく営みを伝えたい
あおぞら養鶏場の原点には、「命を育て、命をいただくことの意味を伝えたい」という想いがあります。

私たちはニワトリたちを“コッコさん”と呼び、家族のように接しています。
コッコさんたちは、広々とした鶏舎で砂浴びをし、のびのびと幸せそうに過ごしています。
与える飼料も日々研究を重ね、余計なものを加えず、安心できる素材を厳選しています。
手間を惜しまず平飼いにこだわるのは、命の営みを大切にしたいから。
卵は命の恵みであり、そのひとつひとつが、自然と命が巡り合って生まれた贈りものだということを、子どもたちや次の世代に伝えていきたいと思っています。
満たされているのに、どこか不安
「暮らしの根っこ」を取り戻すために

物にあふれ、便利な暮らしが当たり前となった現代。
けれど、心が落ち着かない、何かが足りない。
それは、人が生きていくために本当に必要な「暮らしの根っこ」、たとえば自分の手で食べ物を育てたり、命と向き合う経験が欠けているからかもしれません。
自然の中で手を動かして育て、食べる営みの中にこそ、人としての確かな安心や自分の存在を実感する力があります。
私たちの養鶏は、その実感を得る場であり、自然と共に暮らす知恵を未来に残す挑戦でもあるのです。
慣れない重機で道を切り拓くことからのスタート
養鶏という仕事に踏み出した背景には、自分の生き方や子どもたちの未来と真剣に向き合った時間があります。
岡山市内で育ち、高校卒業後に就職するも、自分の進む道に違和感を覚えて退職。
その後、他県へ移り住み、いくつもの仕事を経験しました。
やがてインターネット事業で独立し、忙しくも充実した日々を送っていましたが、2019年に事業を手放すことに。

改めて「これからどう生きるか」を見つめ直し、地元岡山へ戻ることを決意しました。
「自分にできることは何か」そう問い続けてたどり着いたのは、自然とともに生き、命と向き合う暮らしでした。
とはいえ、すぐに農業が始められたわけではありません。
5200坪もの土地を開拓するところからのスタート。
慣れない重機で一歩ずつ道を切り拓き、数えきれないトラブルを乗り越えながら、少しずつ夢をかたちにしていきました。
小さな養鶏場からつなぐ、未来へのバトン

いま日本では、平飼い養鶏を実践する農家はごくわずかです。
だからこそ、少数派としての誇りを持ち、地域の人々と力を合わせながら、未来に残せる農業を育てていきたいと考えます。
卵を届けた方から「おいしかった」「子どもが安心して食べられる」と声をいただくたびに、こんなに小さな養鶏場からでも未来を変えていけると実感しています。
あおぞら養鶏場は、これからも社会に開かれた「未来を育てる場所」であり続けたいと考えています。

農場長 カオルさん
「精神的自由」を目指し、高校卒業後に就職した会社を退職。
20歳から30歳まで、静岡、新潟で過ごし、30歳で起業。
オンラインビジネス(アフィリエイト)を中心に活動し、2014年にオンラインサービスを立ち上げる。2019年9月に事業売却。
「子供の教育」を目指し、人口1万人の町「吉備中央町」に移住。資本主義の限界を感じ、一次産業に従事することを決める。「未来に残せる農業」をコンセプトに、養鶏業をスタート。